五代目桂三木助による名作落語会 vol.1 「死神」

五代目桂三木助による名作落語会
vol.1 「死神」
「死神」と聞いてどんな姿を想像するだろうか。骸骨、鎌、黒い服。一般的にはこのようなイメージが近い。日本でも広く知れ渡っているがだいぶ洋風なイメージのままである。
そもそも「死神」の概念が西洋の文化から日本に伝わった事が起因する。日本にも似たような神はいるが、少々異なる為に今の形で定着したのではないだろうか。
「死神」の概念は江戸時代にも入って来ていた。落語「死神」もその時に出来上がった。
三遊亭圓朝師匠という方がグリム童話「死神の名付け親」を元にして落語「死神」を作ったとされている。
簡単にグリム童話「死神の名付け親」について説明する。
とある貧しい家に男の子が産まれた。
金銭的に苦しく両親が悩んでいると、神、悪魔、死神の三人が両親の元に現れた。
その三人は自分達の誰かが、その男の子の名付け親になってやろうと両親に話し出す。
そしてそれぞれ、その男の子の名付け親になった時のその子への利益を話始めるが、両親は神と悪魔には耳を貸さなかった。
理由は神と悪魔は人に対し不平等である。
そして両親は死神に対し、お前は全てに対して平等に扱う。だからお前に名付け親になってもらう話す。
死神はこう言った。
「この子を名医にしてやろう。」
時が過ぎ、成長した男の子の元へ死神がやって来た。そして医者のなり方を教える。
「病人の側にワシもついて行く。助かるならワシがその病人のある場所へ行く。そこへワシが行ったら病人に薬草を飲ませろ。必ず良くなる。」
死神に言われたようにやると、その男の子は名医と言われるようになった。
ある日、名医と呼ばれる男の子は死の淵にいる王族を助ける為に呼ばれる。だが、死神は助かる場所にはいない。
本来なら見捨てるべきなのだが富と名誉に目が眩み、その王族を助けてしまう。
王族は助かったが、怒った死神は男の子をある洞窟へ案内する。
無数にある蝋燭、その中で極めて短い蝋燭があった。死神はその蝋燭が男の子のもので男の子の寿命を表していると…消えたら死ぬ。そう説明された男の子は慌てて死神に助けを求める。なんとか説得し、死神が新しい蝋燭を出して助けようとするが、怒っていた死神はわざと失敗し男の子は死んでしまう…
落語「死神」もだいぶ近しいものである。
ただ違うのは最初、死神は人間ぽい感じで出てくる。
死神「お前、死のうてえのか?
金儲けの仕方教えてやる」
男「なに言ってんだい、じいさん。自分でやれよ、汚ねえ格好して」
という感じで大体はグリム童話と同じであり、この後医者のなり方を教える。勿論設定など細かな点に日本風なアレンジをされているが、大体の筋は一緒になっており、最終的には報いを受ける噺となっている。
まずこの落語はグリム童話と日本の落語の違いを楽しんでもらいたい。
そしてもう一つ、私三木助の「死神」はこちらを元にして解釈を変え、新しい形を作っている。
どうして死神が主人公を助けたのか…その理由は本来はないが、この点をつけ加えた。
正直言えばこの一点しか、ほぼほぼ変えてないと言っていい。だがそれによって、いくつかの解釈も出来るようになったと思ってる。
SF要素もある古典落語「死神」落語をまだ聞いた事のない方、初心者の方、三木助の死神を聞いた事のない方、是非とも聞いて欲しい噺である。
日時:令和6年8月23日(金)20:00~21:30 (開場19:30)
場所:THE WHITE ROOM
料金:2000円
桂 三木助
1984.3.19生まれ
2003年 国士舘大学法学部を中退
同年5月 金原亭 馬生に入門 前座名 金原亭 駒春
2006年11月 二つ目昇進 二代目 桂 三木男
2017年9月21日真打昇進と同時に五代目 桂 三木助を襲名
三代目 桂三木助が祖父になり、四代目 桂三木助が叔父になる。
趣味はサバゲーとアップルパイ作り
【公式HP】
https://www.mikisuke5th.com/
